時刻取得機能付きの電圧監視装置

時刻取得機能付きの電圧監視装置

以前の記事に紹介した電圧監視装置に、時刻設定ができるようにアップグレードしたものをご紹介します。

従来型の電圧監視装置では、SDカードに格納されている設定ファイルに「何分周期」で通知を受けるか、というふうに通知のタイミングが決められました。

しかし、このやり方だと、アラームのように時間を指定し、その時間になったら通知を受けるようなことができませんでした。

そこで、Wi-Fiを経由し、時刻を取得する機能を追加しました。

電圧監視装置とは?

そもそも電圧監視装置とはどんな装置なのか、ご説明します。

電圧監視装置は、バッテリーの電圧を監視する装置です。
SDカードに書き込まれた、Wi-Fi接続先や、メール送信先などの設定を参照して動作します。
指定した時間に電圧を記載したメールを受け取ることができ、どこでもバッテリーの電圧を確認できます。
また、指定した電圧を下回っていた場合は、低下時専用のメールを受け取ることができます。
しばらく使用しない車などの、バッテリー低下が気になる際にお使いいただけます。
(乗用車、フォークリフト 、ゴルフカート、自動搬送車、除雪機など)

車のオーディオやカーナビの裏にある配線にProBlockをつなぎます。

主な機能

電源は車内バッテリーから供給するため、低消費電流を重視しています。
電圧監視装置の主な機能は以下の通りです。

1. 電圧監視

設定ファイルに設定した時間になると、電圧監視の処理を開始します。
電圧監視の処理では、ノイズを取り除くために一定間隔で数回測定し、
その平均値を電圧値として通知します。

2.メール通知

設定ファイルで設定したWi-Fiを経由して、メールで通知を送ります。
電圧測定後、算出された電圧の値を設定したメールアドレスへ送信します。
また、定期通知のほか、起動時や電圧低下時にも通知が届くようになっています。

実際に受信するメール通知のキャプチャー

3.時刻取得

以前の電圧監視装置では、マイコンに付属されているタイマを使用し、送信周期をカウントしていました。しかし、この方法だと、マイコンの状態によって少しずつ誤差が発生するようになってしまうのと、正確な時刻を取得できませんでした。時刻取得方法を変えて改善しました。

Wi-Fi接続を利用した、正確な時刻を取得します。
通知受取時間の設定で役立ちます。

また、 時間の累積誤差を無くす ための補正する処理としても利用しています。

補正処理では、現在の時刻と、前回送信した時間+送信周期の時間とのズレを監視し、ずれた分を補正します。補正した時間を見て、次の送信時間を決めます。

【対策前】
 送信ごとに1秒の誤差があるとした場合、
 10回の送信で約10秒の誤差になります。

【対策後】
 送信時間を2分に設定し、10回分の通知時間を確認した結果、
 送信ごとの誤差にばらつきはありましたが、
 平均で2分02秒で受信されていました。

4.その他の機能

低消費電流

電圧監視中、Wi-Fi接続中、メール送信中以外の状態になった場合、
Wi-Fiモジュールをシャットダウンしたり、スリープモードに入ります。
スリープモードに入っても、リアルタイムで時間取得が必要なため、マイコンは最小クロックで動作します。
再び送信時間になったら、通常モードに戻るというサイクルになります。

ログ出力

Wi-Fi接続に失敗したり、指定した時間にメールが受信されなかったりと、
何か通信トラブルが起きた時にどこにどの不具合が入っているのかを
把握できるように、ログを出力します。
ログは、SDカードに失敗時にのみ出力されます。

内部構成

電圧監視装置の開発は、すべてProBlockの機能モジュールのみで簡単にできました。
使用した機能モジュールは以下の通りです。

PB-POWER システム電源
PB-EXT 外部電源入力
PB-SDC Micro SDカード
PB-WIFI Wi-Fiモジュール        
PB-PIC24          CPU PIC24

仕様

監視(メール通知)周期 1~1440 [min]
電圧低下閾値 10.0~15.0 [V]
動作電圧 6~15 [V]
通信インターフェース Wi-Fi
入力電源 バッテリー
消費電力(消費電流) (電圧14Vの場合)
スタンバイ時:約18mWh
メール送信時:約3.4mWh
精度 送信時間2分、送信10回分の場合
平均:2分02秒

まとめ

ProBlockの機能モジュールを使用した電圧監視装置とWi-Fiモジュールを応用したタイマー機能についてご紹介しました。

ハードを変えずに、Wi-Fiモジュールの処理を修正するだけで機能の追加、装置のアップグレードができました。

弊社では、開発をスムーズに行えるための、ProBlockに特化した開発プラットフォームを備えています。

電圧監視装置のほかにもProBlockを使った事例を多数ご紹介しているので、よかったら読んでみてください。

また、「ProBlockでこんなことはできるか?」などのご質問やご相談も承りますので、是非お気軽にお問い合わせください。

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